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吉波彦作『漢文研究要訣』を読む

『漢文研究要訣』015:1-4白文訓読と造語法(8)反語格の語法・反語副詞

2020/2/25 2020/3/1 吉波彦作『漢文研究要訣』を読む

六 反語格の語法

語勢を強めるために、特に反語法を用いる。

1. 反語副詞を用いたもの

豈(あニ)

  • 吾豈匏瓜也哉。焉能繫而不食。(『論語』陽貨)
    〔吾れ豈に匏瓜也らん哉。焉んぞ能く繫り而食われ不らん。〕
  • 雖有臺池鳥獸、豈能獨樂哉。(『孟子』梁恵王上)
    〔臺池鳥獸有りと雖も、豈に能く獨り樂しまん哉。〕
  • 夫豈不義而曾子言之。(『孟子』公孫丑下)
    〔夫れ豈義あら不して曾子之を言わんや。〕
  • 夫道、若大路然。豈難知哉。(『孟子』告子上)
    〔夫れ道は、大路の若く然り。豈知り難からんや。〕

何(なんゾ)

  • 子貢對曰、賜也何敢望回。(『論語』公冶長)
    〔子貢對えて曰く、賜也何ぞ敢えて回を望まん。〕
  • 對曰、然則廢釁鐘與。曰、何可廢也。(『孟子』梁恵王上)
    〔對えて曰く、然らば則ち鐘に釁るを廢む與。曰く、何ぞ廢む可き也や。〕

曷(なんゾ)

  • 口耳之間、則四寸耳、曷足以美七尺之軀哉。(『荀子』勧学)
    〔口耳之間、則し四寸耳、曷ぞ以て七尺之軀を美るに足らん哉。〕
  • 天下曷敢有越厥志。(『孟子』梁恵王下)
    〔天下曷ぞ敢えて厥の志を越ゆること有らん、と。〕

胡(なんゾ)

  • 君子胡不慥慥爾。(『中庸』)
    〔 君子胡んぞ慥慥爾たらざらん、と。〕
  • 帰去来兮。田園将蕪、胡不帰。(陶淵明「帰去来辞」)
    〔帰りなんいざ。田園将に蕪れんとす、胡ぞ帰ら不る。〕

奚(なんゾ)

  • 子奚不爲政。(『論語』為政)
    〔子奚ぞ政を爲さ不る。〕
  • 奚暇治禮義哉。(『孟子』梁恵王上)
    〔奚んぞ禮義を治むるに暇あらんや。〕

寧(なんゾ/いづくんゾ)

  • 王侯將相、寧有種乎。(『十八史略』)
    〔王侯將相、寧ぞ種有らん乎。〕
  • 寧能處小朝廷求活耶。(胡詮「上高宗封事」)
    〔寧ぞ能く小朝廷に處りて活きるを求めん耶。〕

安(いづくんゾ)

  • 燕雀安知鴻鵠之志哉。(『十八史略』)
    〔燕雀安ぞ鴻鵠之志を知らん哉。〕
  • 此獨大王之雄風耳、庶人安得共之。(蘇轍「黄州快哉亭記」)
    〔此れ獨り大王之雄風耳、庶人安ぞ得て之を共にせん。〕

惡(悪)(いづくんゾ)

  • 以小易大、彼惡知之。(『孟子』梁恵王上)
    〔小を以て大に易う、彼れ惡ぞ之を知らん。〕
  • 夫撫劍疾視曰、彼惡敢當我哉。(『孟子』梁恵王下)
    〔夫れ劍を撫おさえ疾にくみ視て曰く、彼惡んぞ敢えて我に當たらんや、と。〕

焉(いづくんゾ)

  • 里仁爲美。擇不處仁、焉得知。(『論語』里仁)
    〔里の仁は美しと爲す。擇びて仁に處ら不んば、焉ぞ知を得ん。〕
  • 後生可畏、焉知來者之不如今也。(『論語』子罕)
    〔後生畏る可し、焉ぞ來たる者之今に如か不るを知らん也。〕

烏(なんゾ/いづくんゾ)

  • 烏睹其為快也哉。(蘇轍「黄州快哉亭記」)
    〔烏ぞ其れ快を為すを睹みる也らん哉。〕
  • 烏有城壞其徒倶死、獨蒙愧恥求活。(韓愈「張中丞傳後敘」)
    〔烏ぞ城懐れてその徒倶に死するに、独り愧恥を蒙りて活きるを求むる有らんや。〕

詎(いやシクモ・いずくんゾ)

  • 聊試仰首一鳴號焉、庸詎知有力者不哀其窮。(韓愈「應科目時與人書」)
    〔聊か試みに首を迎あげて一たび鳴号せんか、庸詎いづくんぞ力有る者の其の窮まるを哀れみん。〕
  • 天下詎可知、而閉長者乎。(『後漢書』光武帝紀)
    〔天下詎ぞ知り、し而長者を閉す可き乎。〕

庸(なんゾ/いづくんゾ)

  • 從者皆國器、此天所置、庸可殺乎。(『史記』晋世家)
    〔從者は皆な國器なり、此れ天の置く所、庸ぞ殺す可けん乎。〕
  • 吾師道也、夫庸知其年之先後生於吾乎。(韓愈「師説」)
    〔吾師は道也、夫れ庸ぞ其の年之先後を知りて吾於生かさん乎。〕

巨(あニ/なんゾ)

  • 沛公不先破關中兵、公巨能入乎。(『十八史略』)
    〔沛公先に關中の兵を破ら不らば、公巨ぞ能く入らん乎。〕

上記の派生として、このほか、何爲、奚爲、曷爲、何以、庸詎などのように、二字相合して反語格を作ることがある。

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早稲田大学大学院文学研究科東洋史専攻修士課程修了。若年時より鉄の馬に騎のり全国を放浪。その必要から火と波と星の研究を楽しむ。その後編集者・会社経営者などを経て、現在は暇つぶしに武術の稽古と漢籍を読む日々。詳細は姉妹サイトのプロフィールを参照。

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