『標準漢文法』027:2-1-2D本名詞の小分(2)

第二節 名詞の小分〔承前〕

本名詞の小分(2)

本名詞を分けて、絶対名詞、相対名詞の二つとする。

絶対名詞

絶対名詞は具備した概念として他と関係なしに単独で考え得る概念を表す名詞である。「山」「河」「人」「獣」「日本」「支那」「舟」「車」「政治」「教育」「文章」「詩歌」などの類がそうだ。

相対名詞

相対名詞は他の概念と相対的にのみ具備した概念として考えられ、単独に考えては具備しない概念を表す名詞である。例えば「妻」の如きがそうだ。妻は夫たる人に対して相対的に妻なのである。夫に対せずして存する妻というものはない。必ず何人かの妻であるので、誰の妻でもないただ妻という様な絶対の妻はない。

相対名詞には種々ある。

一 所有物として所有者に相対的なるもの

例えば次の「 」の如きがそうだ。

某之「妻」    某之「子」
某之「君」    某之「臣」
某之「朋友」   某之「敵」
刀子之「柄」   刀子之「鞘」
器物之「蓋」   器物之「縁」

二 作用として主体客体に相対的なるもの

物之「販売」   物之「購買」
動物之「保護」  牛馬之「屠殺」
夷狄之「朝貢」  文化之「発展」
敵国之「降服」  子弟之「留学」

三 方位として事物に相対的なるもの

東山之「上」   灯火之「下」
学校之「前」   旅館之「後」
荒服之「外」   城郭之「内」
窓戸之「隙」   岩石之「ひび
考試之「前日」  入学之「翌日」
君臨之「三年」  即位之「五年」

四 性質として事物に相対的なるもの

文章之「上乗」  物之「凡品」
胡蝶之「卵」   孔雀之「雛」

五 範囲として事物に相対的なるもの

財産之「全部」  資本之「一部」
朋友之「一人」  国民之「多数」
兵「百万」    車「千乗」

相対名詞は単独には具備した概念を表すことが出来ないものであるから、其れを断句の中に用いるには他語を以てその相対の基準を示すことが必要である。その相対の基準を示すものを相対名詞の補充語という。上の例の「 」の上に在るものは「 」に対する補充語である。

本名詞に於ける絶対名詞、相対名詞の別は、その名詞としての固有の性能である。その運用上の副性より言えば、相対名詞も絶対化する場合があり、絶対名詞も相対化する場合がある。そのことは詞の運用に関する問題であるから、■第二章第一節に述べることにする。

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